その握手は大丈夫? 好印象を与える国際的マナーとしての握手の仕方

日本には「お辞儀」という伝統的な挨拶がありますが、最近ではその習慣を持たないひとたちとの挨拶の機会も増えてきました。それはビジネスの機会であったり、また旅行中の出来事であったりと様々です。
でも、まずそうした挨拶がきちんとできなければ、初めての場で好印象を与えることはできませんよね。

 

お辞儀も握手も敵意がないことを表明する行為

 

お辞儀も握手も「自分が相手に対して全く敵意を持っていない」ということを表明する行為です。
だから一番弱くしかも大切な部分である頭を下げて見せますし、何も武器を持っていない証拠に素手の右手を差し出します。

日本以外の国々にも様々な挨拶がありますが、国際的にはこの「握手」がお辞儀より一般的だと言えます。そして、だからこそきちんと握手をして、相手に好ましい印象を与えることが大切だとわたしは思います。

日本の伝統的なお辞儀をしたことがない外国人にはきちんと頭を下げるのはとても難しい仕草です。そして、握手をあまりしたことのない日本人にも握手にはとまどうことが多いでしょう。手を差し出されたらどうやって握ったらいいのかわからない、とこぼしたひとも知っています。

 

まずは目をしっかり合わせよう

 

 

日本人は乾杯のときも相手の目を見ず、どちらかと言うとグラスを見てしまうひとが多いようです。

でも、これは反対に「お辞儀をするときの外国人」にも言えることなのです。挨拶は「目を見てする」国から来ているひとたちは頭を下げることができず、必然的に「身体を曲げても顔だけは相手を見ている」というおかしなお辞儀になっていることもあります。

ですから、握手をするときは必ず相手の目をしっかりと見ましょう。よそ見をしてはいけません。
お辞儀をしながら握手をしているひとも見かけたことがありますが、これは和洋折衷で相手をとまどわせることにもなりかねません。

例外もあります。
2009年に当時のオバマ大統領が来日したときに、天皇陛下(今の上皇陛下)に握手をしながら深々とお辞儀をしました。
アメリカではこの挨拶が「大統領が頭を下げるとは何事だ」と物議をかもしましたが、わたしはオバマ大統領が天皇陛下に対して彼としては最上の挨拶をしたのだと思いました。国際的な順位付けでは、皇帝は王よりも上位になります。そして、その王の下に大統領がいるわけですので、オバマ大統領は敬意をそのような形で表したと考えていいのではないでしょうか。

 

一番嫌われるのはふにゃふにゃの握手

 

全く力が感じられない、ただ「右手を差し出すだけ」のふにゃふにゃ握手は好ましくありません。
これは、相手から「誠意のない握手」とみなされ、相手に「握手をしたくない印象」を与えるだけで、初対面のひとに対してはかなり失礼だと思われます。

相手を痛がらせるほど強く握るのは問題外ですが、相手がしっかりとあなたの手のひらを感じられるくらいの力は入れたほうがいいのです。

機会があるかどうかはわかりませんが、皇族王族の女性たちに挨拶をするときにはこの限りではありません。
こういうときに手のひらを下に向けて手を差し出されたら、握り返してはいけないのです。そっとその手を取り、男性ならお辞儀をするかのように頭を下げるだけ、女性ならそのままカーテシー(curtsy)で膝を深々と折ります。

 

握手は何度も「シェイク」してはいけない

 

握手は英語でHandshakeと言いますが、何度もシェイクはしません。
どちらかと言うと、一度ぐっと握ったらおしまいです。握ったまま話し出すひともいますが、そういう場合はこちらからふりほどかずに、相手の出方を見たほうがいいでしょう。

 

 

また、あなたが座っていて、立っている誰かがあなたに握手を求めたとしましょう。
その場合は、必ず立って握手しましょう。そのほうが礼儀にかなっているのです。ただし、すでによく知っている相手には座ったまま握手をすることもあります。

そして、年上または上位の役職のひとから手を出すのが普通ですが、こちらから手を出してもかまわないとわたしは思います。

実は、様々な国で挨拶をしたことのあるひとたちは、「握手をする習慣のない国もある」ということを知っています。ですから、あなたが日本人だったら「挨拶を強要してはいけないのでは」と思うひともいるのです。

そういう雰囲気で手を出さないようなら、こちらから思い切って手を差し出して好意を見せることも必要ではないでしょうか。
握手は、最初に書いたように「相手に敵意のないことを知らせる」意味があるのですから。