これで間違いなし! 正しい「ご自愛ください」の意味と使い方を学ぶ

「ご自愛ください」という言葉をよく見ますが、どんなときに誰に使ったらよいか知っていますか?

実は、手紙やメールなどに添えることができてとても便利。覚えておくといい言い回しのひとつです。

 

目上の人を気づかう「ご自愛」

 

「ご自愛」は元々「自分を愛する」、つまり「自分の身体の健康状態に気をつける」という意味に、接頭語「ご」または「御」のついた敬語です。

年齢、階級、地位が上のひとに対して「相手の健康を気づかう言葉」ですので、普通は若い人や地位が下の人には使いません。そのときは「お体を大切にしてください」が適切だと思います。

また、敬語ですので、近い目上の人、つまり自分の家族やよく交流のある親戚などに使うとよそよそしい雰囲気になってしまいます。そのときにも「お体を大切にしてください」あたりで、より親近感を出したほうがいいでしょう。

 

「お体」は「ご自愛」しないのか

 

言葉の意味にすでに「身体を」が入っていますから、「お体をご自愛ください」とは言いません。重複しているので、よく冗談で使う「頭痛が痛い」と同じように変な日本語になってしまいます。

また、尊敬を表す「ご」という接頭語がついていますので、「ご自愛してください」もおかしな使い方になります。「して」はその後に「ください」をつけても敬語表現にはならないのです。気をつけましょう。

 

女性男性に関わらずそのまま使える表現

 

日本語には女性だけが使う表現、男性だけが使う表現というものがありますが、この「ご自愛ください」に関しては、そうした性別はありません。

強いて言えば、時々見る「ご自愛くださいませ」がとても優しい雰囲気で女性的に感じられるかもしれません。

また、「愛」が言葉に入っていてどうも使いづらい、と言う男性がいましたが、全くそんなことはありません。相手に対する気づかいを表す敬語です。どんどん使ってください。

 

 

季節の言葉を添えよう

 

手紙やメールの最後にただ「ご自愛ください」では少々そっけないと思うかもしれません。そんなときは、季節について一言添えるのが一番だと思います。

例えばビジネスのやりとりをしたあとで、懇意にしている取引先にいきなり「ご自愛ください」では、「なんでいきなり…」と思わせてしまいます。

「なぜご自愛してほしいか」の理由、つまり季節柄を添えるとスムーズな結びになります。

そうしたことから、季節の挨拶状(年賀状、暑中見舞い、残暑見舞い)にはよく使われる表現ですが、 実は一般的な言葉なので1年中添えることができます。

少しですが、例文をあげておきます。
いずれにしろ、「ナントカカントカですので、体調をくずされませんよう、くれぐれもご自愛ください」は一番使いやすい表現だと思います。

 

  • 春:
    春たけなわの折り、
    暖かくなってまいりましたが、まだいきなり寒くなる日もございます。くれぐれも…

  • 夏:
    暑さもことのほか厳しい今日このごろです。体調をくずされませんよう、くれぐれも…
    夏の暑さの疲れが出やすい時期ですので、くれぐれも…

  • 秋:
    秋めいてまいりましたが、まだまだ残暑きびしい日もございます。くれぐれも…
    近頃はようやく涼しくなり過ごしやすい日々ではありますが、くれぐれも…

  • 冬:

    寒さ厳しい折り、
    立春とは名ばかりでまだまだ寒い日が続いておりますが、くれぐれも…

 

「ご自愛ください」は元気な人だけに使おう

 

 

それからもうひとつ、これが一番大事なのですが、「ご自愛ください」はすでに体調のすぐれない人、または病気の人に対しては使えないということです。高齢で寝たきりのひとにも使えません。

すでに身体の悪いひとたちに、さらに「自分の健康状態に気をつけろ」と言うのはいくら敬語でも禁句です。「がんばって」も同じですね。

こんな場合は、自分が相手に対してできることで結ぶとよいと思います。例えば「またお目にかかれるのを楽しみにしております」や「次にお会いするときにはまたXXについてお話ができれば嬉しく思います」など。

肝心なのは、相手に対する「思いやり」です。

 

それでは、ご自愛ください…

 

「ご自愛ください」は最初にも書いたとおり、とても便利な表現です。

友達などにメールやメッセージを送るときには、「風邪なんかひかないようにね!」などとカジュアルに書けばいいことでも、目上の人には使えません。そんなときにはこの言葉で結びとすれば、相手に失礼にならないのです。